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『フジタの白鳥』書評一覧

『週刊読書人』(4月7日号)演劇評論家・高橋宏幸氏
「資料の残り具合によって長さも論の深度も違う。(略)通読しているとそのバランスの悪さはどうしても残る。(略)藤田の当時の状況、作品の背景、そして著者の熱い思いを投影して(略。佐野の)想像力で補完する部分も多い。(略)単なる研究との違いはここにある。研究書ならばもう少し抑えた書き方をするだろう。だが、著者の対象に対する情熱が、所々にあらわれる。それは、この研究にかけた思いが伝わる部分でもある。いわば藤田の舞台美術を通して、著者の顔が浮かぶようなのだ」

『日本経済新聞』(4月8日)文芸評論家・三浦雅士氏
「力作かつ労作である。1946年夏、帝国劇場。第一次東京バレエ団のこの(『白鳥の湖』)公演は日本バレエの出発点であり、バレエバレエ関係者で知らない者はないが、しかしその美術が藤田の手になったことはあまり知られていない。知っていても、美術の内容までは知らない。本書はそれを奇跡的に復元してみせた。(略)本書を残してくれたことに感謝したい」