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『劇場を世界に』発売のお知らせ

久しぶりの新刊のお知らせです。
『劇場を世界に—外国語劇の歴史と挑戦』(谷川道子+柳原孝敦編著)が発売されました。全国の書店でお求めになれます(発行:エディマン、発売:新宿書房)。

約1年間に及ぶ編集作業を経てようやく完成しました。『シンコペーション』以来の複数の筆者による構成で、苦労しました。
この本は、演劇の中でも、とくに外国語劇に焦点をあてた珍しい本です。
外国語劇とは、つまり文字通り「外国語で演ずる劇」です。

たとえば、日本では歌舞伎俳優の松本幸四郎さんが『ラ・マンチャの男』をブロードウェイで英語上演したことがあります。さらに最近では、野田秀樹さんが『赤鬼』を日本語・英語・タイ語のバージョンで上演したことも記憶に新しいでしょう。野田さんについては、2007年に『THE BEE』でも日本語・英語の両バージョンで上演しました。

本書では、お二方にそれぞれ、松本幸四郎さんには『古典と現代、世界と日本』と題して語っていただき、野田秀樹さんには、演劇評論家の鴻英良さんをお相手に対談していただき、収録しました。
このように書いてしまうと、外国語劇は比較的最近のトピックかと思われるかもしれませんが、じつは100年以上の歴史があります。

といっても、学生によるものなのですが、現在の東京外国語大学でも学園祭にあわせて行なわれている外国語劇は、前身の東京外国語専門学校時代の1900年から、戦時中などの中断はあるものの、継続して行なわれています。現在は26言語で行なわれているのですから、すごいもんです。
本書では、その上演リストを含めた年表も収録し、当時、上演に携わった方たちのコメントも掲載しました。それを読めば、昔の外国語劇が、日本の劇団たちと、かすかにではありますが、繋がりをもっていたことがわかるでしょう。

そうした流れの中に、島田雅彦さんがいたりします。島田雅彦さんには講演していただいた原稿を寄稿していただきました。
外国語で演ずることは、言語修得の役に立つのか。本書のひとつの問いはこういったことでもあります。ご興味のある方はぜひお手に取ってみてください。

久しぶりの更新がこんな宣伝ばかりですみません。
近々、カバーと目次をアップしますのでお楽しみに。

溜め込んでいた仕事も一気にやろうと思っています。
牛歩の歩みの編集作業ですが、どうぞ気長に待っていてください。